【昇格試験】問題点と原因の違い|即減点されるNG例と正解例

「問題点」と「原因」の境界線 ケーススタディ対策

「問題点を述べよ」

昇格試験のケーススタディや論文で、この設問を見た瞬間、あなたはどう書き始めますか?

実は、9割以上の受験者がここで致命的なミスを犯しています。それは「問題点」を聞かれているのに、「原因」まで踏み込んで書いてしまうこと。

「再発防止の仕組みがないことが問題だ」
「基準が明確でないことが問題だ」
「役割分担が曖昧なことが問題だ」

こう書いた時点で、あなたは次の設問(原因分析)を先取りしてしまっているんです。採点者からすると「この人は設問の意図を理解していない」と判断され、大幅減点の対象になります。

私自身、昇格試験に一度落ちた経験があります。その時の論文を後から見返すと、まさにこの「問題点と原因の境界線」を完全に見失っていました。

本記事では、「問題点」と「原因」の違いを一発で判定できる2つのチェック法と、NG例・OK例の具体的な書き分けを徹底解説します。これを読めば、論文でもケーススタディでも、採点者が求める「問題点」を正確に書けるようになります。

✅ この記事を読むと分かること

  • 「問題点」と「原因」の本質的な違い
  • 一発判定できる2つのチェック法
  • 即減点されるNG例と合格パターンのOK例
  • 論文・ケーススタディそれぞれの実践的な書き方

なお、「課題」と「問題」の違いについては、別記事で詳しく解説しています。本記事と合わせて読むと、昇格試験の論述で求められる用語の使い分けが完璧になります。


「問題点」と「原因」は何が違うのか?

まず、昇格試験における「問題点」と「原因」の位置づけを整理しましょう。

諮問形式の基本構造を理解しよう

昇格試験のケーススタディでは、多くの場合諮問形式(段階的に設問が分かれる形式)が採用されています。

典型的な構造はこうです:

✅ 諮問形式の典型パターン

問1:本ケースにおける問題点を挙げよ
問2:上記問題点の原因を分析せよ
問3:課題と具体的な施策を述べよ

この構造を見れば分かる通り、「問題点」と「原因」は明確に別の設問として扱われています。つまり、採点者は「問題点」と「原因」を別々の能力として評価しているんです。

問1で原因まで書いてしまうと、問2で書くことがなくなる上に、「設問の意図を読み取れていない」と判断されます。

「問題点」で原因を書くと何がマズいか

採点者の立場で考えてみましょう。

採点者は、受験者が以下の能力を持っているかをチェックしています:

  • 問題発見力:現場で起きている「管理不全の状態」を正確に把握できるか
  • 原因分析力:その状態を生んでいる「構造的な欠陥」を論理的に追究できるか
  • 対策立案力:原因を踏まえた具体的な解決策を提示できるか

「問題点」で原因まで書いてしまうと、問題発見力と原因分析力がごちゃ混ぜになり、採点者は「この人は思考プロセスを整理できていない」と判断します。

これは論文でも同じです。「問題点と原因を述べよ」という設問で、問題点の段落に原因を混ぜて書くと、論理構成が崩れて減点対象になります。

「問題点」と「原因」の定義を明確にしよう

ここで、両者の定義を明確にしておきましょう。

✅ 定義の整理

問題点 = 現場で確認できる「管理不全の状態」
→ 今、何が起きているか(事実・現象)

原因 = その状態を生んでいる「構造・欠如」
→ なぜそうなっているか(理由・背景)

問題点は「写真に撮れる」レベルの具体的な状態。原因は「なぜそうなったか」という構造的な説明。この区別を頭に叩き込んでください。


一発判定!「問題点」と「原因」の見分け方

問題点と原因を一発判定する2つのチェック法
2つのチェック法で「問題点」と「原因」を見分ける

では、自分が書いた文章が「問題点」なのか「原因」なのか、どう判断すればいいのでしょうか?

ここでは、私が実際に使っている2つのチェック法を紹介します。この2つを覚えておけば、迷うことはなくなります。

チェック①「〜がないから」テスト

最もシンプルで強力なチェック法です。

✅ 「〜がないから」テストのやり方

自分が書いた文章に「〜がないから」「〜が欠如しているから」という表現が入っているか確認する。

  • 入っている → ❌ それは原因
  • 入っていない → ✅ 問題点の可能性あり

具体例で見てみましょう。

❌ NG例(原因になっている)

「再発防止の仕組みがないことが問題である」
「品質基準が明確でないことが問題である」
「役割分担が曖昧であることが問題である」

→ すべて「〜がない」「〜でない」が入っている=原因を断定している

これらは「なぜそうなっているか」という原因の説明であり、「今何が起きているか」という問題点ではありません。

チェック②「現場の写真」テスト

もう一つのチェック法は、より直感的に判断できます。

✅ 「現場の写真」テストのやり方

自分が書いた文章を「現場の写真として撮れるか」想像する。

  • 写真として撮れる → ✅ 問題点OK
  • 写真として撮れない(概念・抽象的)→ ❌ 原因寄り

「ベテラン社員だけが対応している」→ 写真として撮れる(具体的な状態)→ 問題点OK

「仕組みがない」→ 写真として撮れない(概念的)→ 原因寄り

このテストを使うと、自分の文章が具体的な「状態の描写」なのか、抽象的な「理由の説明」なのかが一目でわかります。

2つのチェック法を組み合わせる

実際に使うときは、この2つを組み合わせてダブルチェックすると確実です。

例えば、「品質トラブルへの対応が担当者の経験に依存している」という文章を検証してみましょう。

  • チェック①:「〜がない」は入っていない → OK
  • チェック②:「ベテランだけが対応している現場」として写真に撮れる → OK

両方クリアしているので、これは「問題点」として書いてOKです。


NG例とOK例で徹底比較

問題点と原因のNG例とOK例の比較
NG(原因断定)からOK(状態描写)への変換イメージ

ここからは、具体的な文例を使って「問題点」と「原因」の書き分けを練習しましょう。

NG例:原因断定してしまうパターン

まず、多くの受験者がやってしまうNG例を見てみましょう。

❌ NG例1:仕組みの欠如を断定

「問題点は、再発防止の仕組みがないことである」

なぜNG?
「仕組みがない」は原因の断定。問題点を聞かれているのに、原因まで踏み込んでいる。

❌ NG例2:基準の不在を断定

「問題点は、品質基準が明確でないことである」

なぜNG?
「基準が明確でない」は原因。なぜ品質トラブルが起きるのかという説明になっている。

❌ NG例3:役割の曖昧さを断定

「問題点は、役割分担が曖昧であることである」

なぜNG?
「役割分担が曖昧」は原因。なぜ業務が滞るのかという構造的な説明になっている。

これらに共通するのは、「なぜそうなっているか」という原因を先取りしている点です。問題点を聞かれた段階では、まだ「今、何が起きているか」だけを述べるべきなのです。

OK例:管理不全の状態を描写するパターン

では、同じテーマを正しい「問題点」として書き直してみましょう。

✅ OK例1:状態を描写

「問題点は、品質トラブルへの対応が担当者の経験に依存していることである」

なぜOK?
「ベテランだけが対応している」という現場の状態を描写している。原因(仕組みがない)には踏み込んでいない。

✅ OK例2:現象を具体的に記述

「問題点は、原因分析や対応策の情報共有が不十分であることである」

なぜOK?
「情報が共有されていない」という観察可能な状態を述べている。なぜ共有されないか(基準がない等)には踏み込んでいない。

✅ OK例3:繰り返しの事実を記述

「問題点は、同様のトラブルが繰り返し発生していることである」

なぜOK?
「同じクレームが何度も起きている」という観察可能な事実を述べている。原因分析は次の設問に譲っている。

NG→OKへの変換パターン

NG例をOK例に変換するコツをまとめます。

NG(原因を断定) OK(状態を描写)
仕組みがない 対応が属人化している
基準が明確でない 判断にばらつきが生じている
役割分担が曖昧 責任の所在が不明確な状態が続いている
教育が不足している スキルレベルに差がある
コミュニケーションが欠如 部門間の連携が取れていない

左の「NG」は「〜がない」「〜が欠如」という原因断定。右の「OK」は観察可能な状態の描写になっています。


論文での書き方実践例

ここからは、論文とケーススタディそれぞれでの実践的な書き方を解説します。

「問題点と原因を述べよ」への対応

論文でよくある設問形式が「問題点とその原因を述べよ」というもの。この場合、問題点と原因を明確に段落分けして書くことが重要です。

✅ 論文の構成例

【問題点】
当社の品質管理部門における問題点は、品質トラブルへの対応が特定のベテラン社員に集中していることである。その結果、ベテラン不在時には対応が遅れ、顧客からのクレームが増加している。また、対応履歴や改善策が部門内で十分に共有されておらず、同様のトラブルが繰り返し発生している状況にある。

【原因】
このような状況が生じている原因は、主に2点ある。第一に、トラブル対応のノウハウを体系化・文書化する仕組みが整備されていないことである。第二に、対応プロセスや判断基準が明文化されておらず、個人の経験と勘に依存する構造になっていることである。

注目してほしいのは、問題点の段落では「仕組みがない」という表現を一切使っていない点です。

問題点では「ベテランに集中」「共有されていない」「繰り返し発生」という観察可能な状態を述べ、原因の段落で初めて「仕組みが整備されていない」「明文化されていない」という構造的な欠陥に言及しています。

論文で使える「問題点」の表現集

論文で使いやすい「問題点」の表現をストックしておくと便利です。

✅ そのまま使える「問題点」フレーズ

  • 〜が特定の担当者に集中している
  • 〜の情報が部門間で共有されていない
  • 〜にばらつきが生じている
  • 〜が繰り返し発生している
  • 〜への対応が遅延している
  • 〜の進捗が計画から乖離している
  • 〜に関する認識が統一されていない
  • 〜の負担が偏在している

これらはすべて「現場で観察できる状態」を表しており、原因断定を避けています。

論文の書き方全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。


ケーススタディでの書き方実践例

ケーススタディでは、諮問形式で「問1:問題点」「問2:原因」と分かれることが多いです。この場合、問1で原因を書いてしまうと問2で書くことがなくなるという致命的な事態になります。

諮問形式への対応の基本

ケーススタディの諮問形式では、各設問に対して「その設問で求められていることだけ」を書くのが鉄則です。

✅ 諮問形式の回答原則

問1(問題点):今、現場で何が起きているか → 状態の描写
問2(原因):なぜそうなっているか → 構造の分析
問3(課題・施策):何をすべきか → 行動の提示

問1で原因まで書いてしまうと、問2の「なぜ」に答えられなくなります。問1は「What(何が起きているか)」、問2は「Why(なぜか)」という役割分担を意識してください。

実際のケーススタディ風の例題で解説

ここで、実際のケーススタディを想定した例題で書き方を確認しましょう。

📋 例題の状況設定

あなたは製造部の新任課長・山田である。着任後、以下の状況を把握した。

  • 品質クレームが前年比150%に増加
  • クレーム対応は入社20年の田中係長がほぼ一人で担当
  • 田中係長は来月から3ヶ月の長期研修に出る予定
  • 他のメンバーはクレーム対応の経験がほとんどない
  • 過去のクレーム対応履歴は田中係長の個人メモにしか残っていない

問1:本ケースにおける問題点を挙げよ

この問1に対する回答例を、NGパターンとOKパターンで比較してみましょう。

❌ NG回答(原因を先取り)

問題点は以下の3点である。

  1. クレーム対応マニュアルが整備されていないこと
  2. ナレッジ共有の仕組みがないこと
  3. 人材育成計画が策定されていないこと

なぜNG?
すべて「〜がない」という原因断定になっている。これでは問2(原因分析)で書くことがなくなる。

✅ OK回答(状態を描写)

問題点は以下の3点である。

  1. クレーム対応が田中係長一人に集中しており、他メンバーの対応経験が乏しいこと
  2. 過去の対応履歴が田中係長の個人メモにのみ存在し、部門として共有されていないこと
  3. 田中係長の長期不在時に対応できる人材が現時点で不在であること

なぜOK?
すべて「現場で観察できる状態」を描写している。原因(仕組みがない等)は問2に譲っている。

OK回答では、問2で「なぜ田中係長に集中しているのか?→マニュアルが整備されていないから」「なぜ共有されていないのか?→ナレッジ共有の仕組みがないから」と展開できます。

ケーススタディの実践的な解き方は、こちらの記事で詳しく解説しています。


よくある間違いQ&A

ここでは、受験者からよく寄せられる質問に答えます。

Q1. 「〜が不十分」は問題点?原因?

A. 文脈によります。

「情報共有が不十分である」→ 観察可能な状態なのでOK
「教育が不十分である」→ やや原因寄りだが、状態としてギリギリOK
「仕組みが不十分である」→ 原因断定に近いのでNG

迷ったら「現場の写真テスト」を使ってください。「情報共有が不十分な会議」は撮れますが、「仕組みが不十分」は撮れません。

Q2. 問題点と原因が明確に分けられない場合は?

A. 「事象(What)」と「理由(Why)」で分けてください。

例えば「品質トラブルが多発している」という事象があるとき:

  • 問題点(What):品質トラブルが前年比150%に増加している
  • 原因(Why):検査工程の省略が常態化しているため

「何が起きているか」と「なぜそうなっているか」を意識的に分けると整理しやすくなります。

Q3. 「担当者に依存している」は原因では?

A. 表現の仕方がポイントです。

「担当者の経験に依存する構造になっている」→ 原因(構造の説明)
「担当者の経験に依存した対応となっている」→ 問題点(状態の描写)

「〜になっている」「〜となっている」は状態の描写、「〜構造である」「〜仕組みである」は原因の説明、という傾向があります。

Q4. 複数の問題点を挙げるとき、どこまで書けばいい?

A. ケーススタディでは3〜5点が目安です。

多すぎると「論点が整理できていない」と判断されますし、少なすぎると「問題発見力が弱い」と判断されます。与件文(問題文)の情報量に応じて、3〜5点程度に絞り込むのがベストです。

Q5. 論文とケーススタディで書き方は変わる?

A. 基本的な考え方は同じです。

ただし、ケーススタディは「与件文の事実に基づいて」書く必要があるため、自分の経験や一般論ではなく、ケースに登場する具体的な事実を根拠にして問題点を挙げることが重要です。


まとめ:2つのチェック法で「問題点」を正確に書こう

本記事では、昇格試験の論文・ケーススタディで頻出する「問題点」と「原因」の境界線について解説しました。

✅ この記事のポイント

  • 問題点 = 現場で確認できる「管理不全の状態」
  • 原因 = その状態を生んでいる「構造・欠如」
  • チェック①:「〜がないから」が入っていたら原因
  • チェック②:現場の写真として撮れなければ原因寄り
  • 問題点では「状態の描写」、原因では「構造の分析」と役割を分ける

「問題点を述べよ」と聞かれたら、まず「今、現場で何が起きているか」を思い浮かべてください。「なぜそうなっているか」は次の設問で答えればいいのです。

この境界線を意識するだけで、論文・ケーススタディの論理構成が劇的に改善し、採点者からの評価も確実に上がります。

ケーススタディの時間配分や解き方のコツについては、こちらの記事も参考にしてください。

あなたの昇格試験合格を、心から応援しています!

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