はじめに:「英語が出るって聞いてないよ!」
「来月の昇格試験、英語の試験もあるらしいんだけど…」
そんな話を耳にして、思わず固まってしまった人も多いはず。
英語なんて学生以来触っていないし、仕事でも使わない。
それなのに、どうして昇格のタイミングで英語が出てくるの?
「入社のときだってTOEICなんて関係なかったのに…」
そんな疑問や焦りが一気に押し寄せてきますよね。
でも、実はこの不安、あなた一人ではありません。
最近は 「入社条件に英語はなかったのに、昇格で突然求められる」 という会社が増えています。背景には、海外資料の読み込みや外部パートナーとのやり取りなど、“管理職になってから”必要になる場面が増えているという事情があります。
そして安心してほしいのは──
昇格試験の英語は、決してネイティブ並みを求めているわけではない ということ。
企業が知りたいのは、
「最低限の英文が理解できるか」
「簡単なビジネス英語で意思疎通ができるか」
という、“必要最低限”のスキルだけです。
この記事では、昇格試験でよく出る英語の内容から、押さえておけば通用する基本フレーズ、短期間で仕上げる勉強法まで、実務で役立つ形で解説していきます。
英語が苦手でも大丈夫。
読み終える頃には、「これなら挑めそう」と思えるはずです。
それでは、一緒に準備を始めていきましょう。
昇格試験で英語が出題される理由と傾向
なぜ今、英語力が求められるのか?
グローバル化が進む現代において、昇進の条件に英語力を求める企業が増えています。その背景には3つの理由があります。
理由①グローバルビジネスの拡大 海外との取引、外国人社員の増加、国際会議への参加など、管理職が英語を使う機会は確実に増えています。
理由②社内公用語の英語化 楽天、ユニクロ(ファーストリテイリング)など、社内公用語を英語にする企業も増加。管理職には英語での会議運営やメール対応が必須に。
理由③多様性への対応 外国人材の採用が進む中、管理職には多様なバックグラウンドを持つメンバーとコミュニケーションする力が求められています。
昇格試験での英語出題形式3パターン

昇格試験の英語は、主に以下の3つの形式で出題されます。
パターン①穴埋め問題(最も多い)
ビジネスシーンでの会話やメールの空欄に、適切な英語表現を入れる問題。
例題:
A: Could you tell me when the meeting starts?
B: It ( ) at 2 p.m.
① start ② starts ③ starting ④ started
パターン②英会話シーン問題
電話応対、来客対応、会議での発言など、実際のビジネスシーンを想定した会話問題。
例題:
「利光は外出しております」
Mr. Toshimitsu is ( ) of office.
「後ほど利光より電話を差し上げます」
Mr. Toshimitsu will ( ) you a call later.
パターン③TOEIC・英検の基準スコア 試験ではなく、事前に一定のスコア提出を求められるケース。
- TOEIC 600〜800点
- 英検 準1級〜2級
- TOEFL 70〜80点
求められる英語レベルは?
安心してください。昇格試験で求められる英語レベルは、一般的に以下の程度です。
- TOEIC換算:500〜700点レベル
- 英検換算:2級〜準1級レベル
- 内容:基本的なビジネス英会話と読み書き
つまり、流暢に話せる必要はなく、「必要最低限のビジネスコミュニケーションができればOK」なんです。
なぜこのレベルが求められるの?
企業が求めたいのは「この3つ」だからです。
① 海外拠点の資料が読めるか
英語メール・レポート・マニュアル
② 外国人社員と最低限の意思疎通ができるか
オンライン会議の冒頭の挨拶や簡単な返答
③ グローバル業務に支障がないか
“使える英語”ではなく“使えなくても困らない英語”の確認
結論:求められるのは “最低限のビジネス英語”
昇格試験で求められる英語力は、
- ネイティブレベル:✕
- 流暢な英会話:✕
- 仕事に支障のない読解・簡単な会話:◎
つまり、必要最低限のコミュニケーション力。
頻出!ビジネス英会話フレーズ50選【シーン別】

実際の昇格試験で頻出するビジネス英会話フレーズを、シーン別に50個ご紹介します。これだけ押さえておけば、本番で慌てることはありません。
論文試験の対策も必要な方は昇格試験 論文の書き方完全ガイドもあわせてご覧ください。
シーン①電話対応(1〜10)
- May I ask who’s calling? お電話をいただいているのはどちら様でしょうか?
- He/She is out of the office right now. 彼/彼女は現在外出しております。
- He/She is in a meeting at the moment. 彼/彼女は現在会議中です。
- Could you hold the line, please? そのままお待ちいただけますか?
- I’ll put you through to Mr./Ms. ○○. ○○におつなぎいたします。
- Would you like to leave a message? 伝言を承りましょうか?
- Could you call back later? 後ほどお電話いただけますか?
- I’ll have him/her call you back. 折り返しお電話させます。
- May I have your phone number? お電話番号をいただけますか?
- Thank you for calling. お電話ありがとうございました。
シーン②来客・訪問対応(11〜20)
- Welcome to our company. 弊社へようこそ。
- Nice to meet you. お会いできて光栄です。
- Please have a seat. どうぞお座りください。
- Would you like something to drink? お飲み物はいかがですか?
- I’ll let Mr./Ms. ○○ know you’re here. ○○に到着をお伝えします。
- Thank you for coming today. 本日はお越しいただきありがとうございます。
- Let me show you around. ご案内いたします。
- This way, please. こちらへどうぞ。
- I’ll walk you to the exit. 出口までお送りします。
- Thank you for your time today. 本日はお時間をいただきありがとうございました。
シーン③会議・プレゼンテーション(21〜30)
- Let’s get started. それでは始めましょう。
- I’d like to talk about… 〜についてお話ししたいと思います。
- May I have your attention, please? ご注目いただけますか?
- Do you have any questions? ご質問はありますか?
- Could you elaborate on that? それについて詳しく説明していただけますか?
- That’s a good point. それは良い指摘ですね。
- Let me clarify that. それについて明確にさせてください。
- We need to discuss this further. これについてさらに議論する必要があります。
- Let’s move on to the next topic. 次のトピックに移りましょう。
- Thank you for your input. ご意見ありがとうございます。
シーン④メール・文書(31〜40)
- I hope this email finds you well. お元気でお過ごしのことと存じます。
- Thank you for your prompt reply. 迅速なご返信ありがとうございます。
- I am writing to inform you that… 〜をお知らせするためにご連絡しております。
- Please find attached… 添付ファイルをご確認ください。
- Could you please confirm…? 〜をご確認いただけますか?
- I would appreciate it if you could… 〜していただけると幸いです。
- Please let me know if you have any questions. ご質問がありましたらお知らせください。
- I look forward to hearing from you. ご連絡をお待ちしております。
- Thank you for your cooperation. ご協力ありがとうございます。
- Best regards, 敬具
シーン⑤上司・部下とのコミュニケーション(41〜50)
- I’d like to discuss this with you. これについて相談させてください。
- Could you give me some feedback? フィードバックをいただけますか?
- I appreciate your support. ご支援に感謝します。
- Let me know if you need any help. 何かお手伝いが必要でしたら教えてください。
- Could you update me on the progress? 進捗状況を教えていただけますか?
- I’ll take care of that. 私がその件を対応します。
- When is the deadline? 締切はいつですか?
- Let’s set up a meeting. ミーティングを設定しましょう。
- I’ll get back to you on that. その件については改めてご連絡します。
- Thank you for your hard work. お疲れ様でした。
短期集中!効果的な英語勉強法7ステップ

限られた時間で最大の効果を出すための、実践的な勉強法をご紹介します。
ステップ①過去問・出題傾向を確認する(優先度:★★★)
まず、自社の昇格試験でどんな英語が出るのかを確認しましょう。
やるべきこと:
- 先輩から過去問を入手する
- 人事部に出題形式を確認する
- TOEICスコア提出の場合は、必要スコアを確認
重要: 出題形式がわかれば、対策の方向性が決まります。これを最初にやらないと、無駄な勉強をしてしまうことに。
ステップ②頻出フレーズ50選を暗記する(優先度:★★★)
上記で紹介した50フレーズを、シーン別に暗記しましょう。
効果的な暗記法:
- 音読を10回繰り返す
- 日本語を見て英語を言えるか確認
- 実際に使う場面をイメージしながら練習
- スマホのメモ帳に保存して通勤時に復習
ポイント: 完璧な発音は不要。「意味が通じる」レベルでOKです。
ステップ③ビジネス英語の基本文法を復習する(優先度:★★☆)
昇格試験の英語は、基本的な文法がわかれば解けます。
最低限押さえるべき文法:
- 現在形・過去形・未来形
- 助動詞(can, will, would, couldなど)
- 受動態(be動詞 + 過去分詞)
- 不定詞・動名詞
- 関係代名詞(who, which, that)
おすすめ教材:
- 『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』(学研)
- 『1駅1題 新TOEIC TEST文法特急』(朝日新聞出版)
文法の基礎を学び直したい方は、NHK語学(英語)の無料コンテンツもおすすめです。
ステップ④TOEICの公式問題集を解く(優先度:★★☆)
TOEIC形式の問題は、昇格試験の英語問題と似ています。
おすすめ教材:
- 『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』
- 『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』
ポイント: 全部解く必要はありません。Part 2(応答問題)とPart 5(文法問題)を重点的に。
TOEIC公式サイトでは、毎週1回、メールで配信される穴埋め問題も公開されています。
ステップ⑤英語の音声を毎日聞く(優先度:★☆☆)
リスニング問題がある場合は、耳を慣らすことが重要。
おすすめ学習法:
- TOEIC公式アプリでリスニング練習
- Podcast「バイリンガルニュース」を聞く
- YouTubeで「ビジネス英会話」動画を見る
ポイント: 1日15分でOK。通勤時間を活用しましょう。
ステップ⑥オンライン英会話で実践練習(優先度:★☆☆)
余裕があれば、実際に話す練習も効果的。
おすすめサービス:
- DMM英会話(ビジネス英会話コース)
- レアジョブ英会話(ビジネスコース)
- ネイティブキャンプ
ポイント: 週1〜2回、25分のレッスンで十分。フレーズ50選を実際に使ってみましょう。
ステップ⑦試験1週間前の総仕上げ(優先度:★★★)
最後の1週間は、復習と実践練習に集中。
やるべきこと:
- フレーズ50選の最終確認
- 過去問を時間を測って解く
- 自分が苦手な分野を重点復習
- 早めに寝て体調を整える
よくある失敗パターン5つ

多くの人が陥りがちな失敗を知っておきましょう。
失敗①いきなり難しい教材に手を出す
英語が苦手なのに、いきなりTOEIC800点レベルの教材に挑戦。挫折して終わります。
対策: 中学英語レベルから復習しましょう。恥ずかしくありません。基礎が一番大事です。
失敗②単語だけを暗記する
単語帳を買って、ひたすら単語だけ覚える。でも、実際の試験では文章で出題されるので役に立ちません。
対策: フレーズ(文章)で覚えましょう。「使える英語」を優先。
失敗③完璧主義になる
「ネイティブみたいに話せないと…」と完璧を目指して、結局何もできない。
対策: 6割できればOK。「伝わる英語」を目指しましょう。
失敗④時間配分を間違える
試験1週間前になって慌てて勉強開始。間に合わず撃沈。
対策: 最低でも1ヶ月前から準備を始めましょう。毎日30分でも継続が大事。
失敗⑤リスニングを軽視する
文法と単語だけ勉強して、リスニングは無対策。本番で聞き取れず。
対策: 毎日15分、英語の音声を聞きましょう。耳を慣らすことが重要。
レベル別おすすめ勉強プラン

あなたの英語レベルに合わせた、効率的な勉強プランをご提案します。
初心者(TOEIC 300〜400点レベル)の場合
学習期間:2〜3ヶ月
1ヶ月目:基礎固め
- 中学英語の文法を総復習(1日30分)
- 頻出フレーズ50選を暗記(1日20分)
2ヶ月目:実践練習
- TOEIC Part 2, Part 5の問題演習(1日30分)
- 英語の音声を聞く(1日15分)
3ヶ月目:総仕上げ
- 過去問を解く
- 弱点分野を重点復習
中級者(TOEIC 500〜600点レベル)の場合
学習期間:1〜2ヶ月
1ヶ月目:ビジネス英語の強化
- 頻出フレーズ50選を完全マスター(1日20分)
- TOEIC公式問題集を解く(1日40分)
2ヶ月目:実践と復習
- オンライン英会話で実践(週2回)
- 過去問演習と弱点克服
上級者(TOEIC 700点以上)の場合
学習期間:2週間〜1ヶ月
やるべきこと:
- 頻出フレーズ50選の確認(1日10分)
- 過去問を解いて形式に慣れる
- 時事英語のニュースを読む(ビジネス知識の強化)
試験直前1週間でやるべきこと
準備①フレーズ50選の最終確認
毎朝10分、フレーズを音読しましょう。試験当日の朝も復習。
準備②過去問を本番形式で解く
時間を測って、本番と同じ条件で解いてみる。時間配分の感覚を掴みましょう。
準備③リスニングの耳慣らし
試験前日まで、毎日15分は英語を聞きましょう。
準備④体調管理
英語の勉強も大事ですが、体調が一番。早めに寝て、万全の状態で試験に臨みましょう。
まとめ:昇格試験の英語はネイティブレベルはいらない

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。昇格試験の英語対策について、だいぶイメージが湧いたんじゃないでしょうか?
この記事のポイントをおさらい:
✅ 昇格試験の英語はTOEIC 500〜700点レベルでOK
✅ よく出る形式は「穴埋め問題」「ビジネス会話」「メール文」
✅ 頻出フレーズ50選を暗記すれば、かなりカバーできる
✅ 完璧を目指さず、「6割取れればOK」の気持ちで
✅ 毎日30分の継続学習が最も効果的
✅ 過去問で出題傾向を確認することが最重要
✅ リスニングは毎日15分、耳を慣らすことが大事
英語って、確かに苦手意識がありますよね。でも、昇格試験の英語は「ネイティブレベル」を求めているわけじゃありません。「基本的なビジネスコミュニケーションができるか」を確認したいだけなんです。
「完璧に話せなきゃ」「文法を間違えたら恥ずかしい」って思わなくて大丈夫。大事なのは、「伝わる英語」。この記事で紹介したフレーズ50選を覚えて、基本の文法を復習すれば、十分合格レベルに達します。
まずは、頻出フレーズ50選を、1日10個ずつ覚えてみてください。5日で全部覚えられます。そして、毎日15分、英語の音声を聞きましょう。1ヶ月続ければ、驚くほど聞き取れるようになります。
焦らず、コツコツ準備していけば、必ず合格できます。応援しています!
