4月からの手帳、もう買いましたか?
「手帳なんてスマホのカレンダーで十分でしょ」と思う方も多いかもしれません。実際、プレイヤー時代はそれで回っていたはずです。
でも、管理職の手帳の役割は「予定を忘れないため」ではありません。
管理職にとっての手帳は、「時間を支配するため(予実管理)」のツールです。
私は営業部長として10年以上チームを率いてきましたが、手帳の使い方を変えた瞬間から、仕事の質が大きく変わりました。そして面白いことに、この手帳術の本質は、昇格試験のインバスケットで問われる「優先順位付け」そのものだったんです。
今日は、インバスケット思考を応用した、成果を出す管理職の手帳術を紹介します。
✅ この記事で分かること
- プレイヤーの手帳と管理職の手帳の決定的な違い
- インバスケット思考を応用した「空白(バッファ)」のルール
- 手帳に部下の名前を書くべき理由
- デジタル全盛でも紙の手帳が支持される科学的な理由
- 営業部長時代に実践していた手帳ルーティン
プレイヤーと管理職、「書くこと」の決定的な違い
まず最初に、はっきりさせておきたいことがあります。
プレイヤーと管理職では、手帳に「何を書くか」が根本的に違います。
プレイヤーの手帳 =「自分が動くためのメモ」
プレイヤー時代の手帳を開くと、こんな感じではないでしょうか。
- ○○社への提案資料作成(期限:金曜)
- △△さんにメール返信
- 午後:会議室B 定例ミーティング
- 経費精算(月末まで)
つまり、「To Do(やること)」と「納期」が並んでいる。これは自分が動くためのメモです。プレイヤーとしてはこれで十分機能します。
できる管理職の手帳 =「チームを動かすための司令塔」
一方、できる管理職の手帳には、こんなことが書いてあります。
- 【判断】10:00 A案件の投資判断(部長への上申期限:水曜)
- 【確認】佐藤さん:△△プロジェクトの中間報告(遅れ気味?)
- 【空白】14:00-15:00 バッファ(何も入れない)
- 【対話】田中さん:先週の商談フォロー&モチベーション確認
違いが分かりますか?
管理職の手帳には「意思決定のタイミング」と「メンバーの動き」が書いてあるんです。自分のTo Doではなく、チーム全体を動かすための司令塔として機能しています。
❌ 要注意:こんな手帳は危険信号
自分の作業予定ですべての時間が埋まっている手帳は、マネジメント不全の証拠です。
「忙しい=頑張っている」ではありません。手帳が真っ黒なのは、自分がプレイヤーのまま管理職をやっているという警告サインです。
この「プレイヤー思考からの脱却」は、プレイングマネージャーの時間管理でも最大のテーマです。以下の記事で、より体系的な時間管理テクニックを解説しています。
インバスケット思考で使う!「空白(バッファ)」のルール
管理職になって最初に気づくのが、「割り込み」の多さです。
部下からの相談、上司からの急な依頼、クレーム対応、会議の延長……。これは管理職の宿命であり、昇格試験のインバスケット試験でも同じ状況が再現されます。
なぜ管理職に「空白」が必要なのか
インバスケット試験を受けたことがある方なら分かると思いますが、次から次へと案件が降ってくる中で最も重要なのは、「全部をやろうとしないこと」です。
手帳も同じです。ギチギチに予定を詰めると、突発事案が1つ入っただけで全ての予定が崩壊します。そして残業確定です。
❌ よくある失敗パターン
朝9時から夕方18時まで、すべての時間にタスクや会議が入っている。→ 14時に顧客クレームが入る → 15時の会議準備ができない → 会議が中途半端に → 残った仕事を残業で処理 → 翌日も同じパターンの繰り返し。
原因:「空白=サボり」だと思い込んでいる。
テクニック:1日の中に「何も入れない1時間」を作る
これはとてもシンプルですが、効果絶大です。
1日の中に意識的に「何も入れない1時間」というブロックを作ってください。
おすすめは午後の早い時間帯(13:00〜14:00 や 14:00〜15:00)。午前中の突発案件が溜まっている場合に、ここで処理できるからです。
空白時間の使い方:3段階ルール
✅ 空白(バッファ)の優先利用ルール
第1優先:トラブル対応
突発的なクレームや部下のトラブルがあれば、ここで対応。最優先です。
第2優先:部下との対話
トラブルがなければ、部下との短い1on1や声かけに使います。「最近どう?」のたった5分が、チームの空気を変えます。
第3優先:未来の計画
第1・第2が不要な日(ラッキーな日です)は、来月の戦略や中期計画を考える時間に。これが「第2象限(緊急ではないが重要)」の時間です。
この「空白」こそが心の余裕を生みます。そして、この優先順位付けの考え方こそが、インバスケット試験の本質です。
インバスケットで問われる「緊急度×重要度マトリクス」の使い方を詳しく解説。
手帳に「部下の名前」が出てこないのは危険信号
あなたの手帳を開いてみてください。
部下の名前は書いてありますか?
もし手帳に自分の予定しか書いていないなら、それは「管理職の手帳」ではなく「プレイヤーの手帳」のままです。
部下の重要タスクの期限をメモする
管理職は、自分のタスクだけでなく、部下の重要タスクの期限も手帳に書くべきです。
例えば:
- 佐藤:A社提案書の第1稿(木曜まで)
- 田中:新人研修の資料完成(来週月曜)
- 鈴木:月次レポート提出(25日)
これを書いておくだけで、適切なタイミングで「進捗どう?」と声をかけられます。締切当日に慌てて「まだ?」と聞くのとは雲泥の差ですよね。
体調・モチベーションの変化を記録する
もう一段レベルを上げると、部下の体調やモチベーションの変化もメモしておきます。
✅ 部下メモの書き方例
・「佐藤さん:最近ミスが多い。残業も増えている。(要・声かけ)」
・「田中さん:先週のプレゼン、堂々としていた。成長を感じる。(次回1on1で承認する)」
・「鈴木さん:表情が暗い日が続いている。(来週中に1on1設定)」
手帳メモが「期末評価のデータ」になる
このメモを続けると、半年後の人事評価の時に驚くほど役立ちます。
「あの時、佐藤さんはこういう状況で、こう成長した」という事実ベースのデータが手元にあるからです。評価面談で「なんとなく頑張っていたと思います」としか言えない上司と、具体的なエピソードを挙げて評価できる上司。部下からの信頼度は歴然です。
部下との対話スキルをもっと深めたい方は、コーチング型マネジメントの実践方法もおすすめです。
デジタル全盛でも「紙の手帳」がなくならない理由
「Googleカレンダーがあるのに、わざわざ紙の手帳?」
そう思う方も多いと思います。私も最初はそうでした。でも、紙の手帳には科学的な裏付けのあるメリットがあるんです。
スマホ通知が集中力を分断する
スマホやPCでカレンダーを開くと、メールの通知、チャットの通知、ニュースのプッシュ通知……。1つの通知で集中力が途切れると、元の集中状態に戻るまで平均23分かかるというカリフォルニア大学の研究結果があります。
手帳を開く行為には、この「思考の分断」がありません。
「書く」行為の脳内整理効果
手書きには、タイピングにはない「アウトプット効果」があります。
プリンストン大学の研究では、手書きでメモを取った学生はタイピングでメモを取った学生と比べて、概念の理解度が有意に高かったことが報告されています。「書く」という行為が脳内を整理し、記憶に定着させるのです。
おすすめは「バーチカル(縦型時間軸)タイプ」
管理職に最もおすすめなのは、バーチカルタイプの手帳です。
バーチカルとは、1週間の時間軸が縦方向に並んでいるフォーマット。これの最大のメリットは、「空き時間」が一目で分かること。
前のセクションで説明した「空白(バッファ)」の確保が、視覚的に簡単にできます。
✅ デジタルとアナログの使い分けガイド
紙の手帳(バーチカル):週の俯瞰、空白の確保、部下メモ、思考の整理
Googleカレンダー:チームとの予定共有、会議室予約、リマインダー
タスク管理ツール(Notion等):部下のタスク進捗管理、プロジェクト全体の見える化
紙とデジタルの「ハイブリッド型」が最強です。
タスク管理を紙の手帳と併用してデジタルで効率化したい方は、Notionがおすすめです。部下のタスク進捗も一元管理でき、プレイングマネージャーの強い味方になります。
私が営業部長時代に実践していた手帳ルーティン
ここからは、私自身が営業部長として実践してきた手帳ルーティンを共有します。
月曜朝:週の「決断ポイント」3つを書き出す
週の始まりに、その週で自分が意思決定すべきことを3つだけ書き出します。
「A社への値引き可否の判断」「新人の配属先の最終決定」「来期の予算案の方向性決め」……こんな感じです。
これを最初に書くことで、その週の「本当に重要なこと」が明確になります。
毎日夕方:翌日の空白時間を確認
退社前の5分で、翌日のスケジュールを確認します。ポイントは、空白(バッファ)が確保されているかのチェック。
もし全時間が埋まっていたら、優先度の低い予定を翌週に回す判断をします。
金曜夕方:部下メモを見返す
金曜の退社前に、1週間の部下メモを見返して、翌週のアクションを決めます。
「鈴木さんの表情が暗い日が続いていたな → 来週月曜に1on1を入れよう」
「田中さんのプレゼンが良かった → 来週の定例で全員の前で紹介しよう」
このサイクルを回すだけで、チームの雰囲気は確実に変わりました。
❌ 私の失敗談:手帳がTo Doリストだった時代
実は、管理職になったばかりの頃は、手帳が完全に「To Doリスト」でした。自分のタスクを100個くらい書き出して、1個ずつ消していくのが快感でした。
でも結果は散々。部下の動きが見えていないから、トラブルは後手後手。自分は毎日残業。チームの成果も伸びない。
手帳の使い方を「自分の仕事を管理する」から「チームの時間を管理する」に切り替えてから、すべてが変わりました。
この手帳術は昇格試験(インバスケット)でも使える
ここまで読んで「なるほど」と思った方は、昇格試験にもかなり有利です。
なぜなら、インバスケット試験の本質は、まさに今日お話しした内容そのものだからです。
インバスケット試験 = 「限られた時間で優先順位を付け、チームを動かす」試験
インバスケット試験では、架空の管理職の立場で大量の案件を処理します。その時に問われるのが:
- 優先順位の判断力:何を先にやるか(空白ルールの第1〜3優先と同じ)
- 委任のスキル:自分でやらず部下に任せる判断(手帳に部下の名前を書く習慣と同じ)
- 俯瞰力:チーム全体を見渡す視点(バーチカル手帳で週を俯瞰するのと同じ)
つまり、今日紹介した手帳術を日常で実践すること自体が、インバスケット試験の最高の練習になるわけです。
インバスケットの具体的な攻略テクニックはこちら。
まとめ:手帳はあなたの「第2の脳」であり「秘書」
手帳は単なる備忘録ではありません。
管理職にとっての手帳は、「第2の脳」であり「優秀な秘書」です。
4月からの新年度。新しい手帳で「時間の主導権」を取り戻しましょう。
✅ 今日からできる3つのアクション
- 手帳を開いて、明日の「空白(バッファ)」が確保されているか確認する。なければ、優先度の低い予定を1つ動かす。
- 部下の名前を1人、手帳に書く。その人の今週の重要タスクと締切を書き添える。
- バーチカルタイプの手帳を検討する。3月中に買い替えれば、4月の新年度に間に合います。
この記事の内容は、そのまま昇格試験のインバスケットや面接でも活きてきます。管理職としてのスキルアップと試験対策を同時に進めたい方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
本気でマネジメントスキルを磨きたい方へ
今回紹介した手帳術は、管理職のスキルのほんの一部です。時間管理、部下育成、意思決定のフレームワークを体系的に学びたい方は、オンライン講座も活用してみてください。
UdemyやGlobis Unlimitedでは、マネジメントスキルに関する実践的な講座が豊富に揃っています。通勤時間や隙間時間で効率的に学べるので、忙しい管理職にもおすすめです。
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手帳術をさらに深めたい方、昇格試験を控えている方は以下の記事もどうぞ。
優先順位付けのスキルを試験レベルまで引き上げたい方に。
よくある質問(FAQ)
Q1. デジタルツール(Googleカレンダー等)だけではダメですか?
A. デジタルツールだけでも基本的な予定管理は可能です。ただし、通知による集中力の分断や、手書きの脳内整理効果が得られない点がデメリットです。おすすめは紙の手帳で週の俯瞰と思考整理、Googleカレンダーでチームとの予定共有を行うハイブリッド型です。
Q2. おすすめの手帳ブランドはありますか?
A. 管理職にはバーチカルタイプがおすすめです。具体的には「能率手帳 NOLTY」シリーズ(特にバーチカル型)や「コクヨ ジブン手帳 Biz」が、ビジネスパーソンに定評があります。実際に文具店で手に取って、書きやすさを確認してから購入するのがベストです。
Q3. 手帳を見る習慣がつかない場合はどうすればいいですか?
A. まずは毎朝の出社後5分間を「手帳タイム」として固定化してください。これだけで1日の優先順位が明確になります。次のステップとして夕方5分の振り返りを追加すれば、手帳を中心にしたPDCAサイクルが回り始めます。
