「インバスケットの本、どれを買えばいいんだろう…」
通販サイトで検索すると、「インバスケット」と付いた本がずらっと並びますよね。しかも著者はほぼ同じ人。表紙と書名だけでは、どれが自分向けなのか正直わかりにくいと思います。
先に結論をお伝えします。インバスケット対策の本は、「読む1冊」と「解く1冊」の2冊で足ります。何冊も買い足す必要はありません。
私は今、昇格試験で受験者の回答を見る側にいますが、点が高い人は「本をたくさん読んだ人」ではなく、時間を測って書き、振り返った回数が多い人です。本選びは、その練習を最短で始めるための準備にすぎません。
この記事では、実在するインバスケット関連書籍の中から、昇格試験の受験者に役立つ7冊を「読む本」と「解く本」に分けて紹介します。あわせて、役職レベル別・残り期間別にどの2冊を組み合わせればいいかもまとめました。
✅ この記事でわかること
・インバスケットの本は「読む本」と「解く本」の2種類に分けて選ぶ
・買う前に確認したい、自分の試験の3つの条件
・入門・演習・公務員向けのおすすめ7冊と、それぞれ向いている人
・役職レベル別・残り期間別の「2冊の組み合わせ」
・本を買ったのに点が伸びない人の使い方と、その直し方
※書名・著者・出版社・刊行年は、著者の公式サイト・出版社系の書籍ページ・書店の商品ページで確認したものです(2026年10月時点)。価格や在庫は変わることがあるので、購入時に販売ページでご確認ください。
結論:インバスケットの本は「読む1冊+解く1冊」で足りる
インバスケットの本は2種類に分かれる
インバスケットの本は、役割で見るとはっきり2つに分かれます。
1つ目は「読む本」。インバスケットとはどんな試験か、優先順位や指示の出し方をどう考えるかを、ストーリーや解説で理解するための本です。
2つ目は「解く本」。演習問題が載っていて、自分で時間を測って回答を書き、解説と見比べるための本です。
この2つは代わりがききません。読む本だけでは手が動かないまま本番を迎えますし、解く本だけだと「なぜその判断がいいのか」がつかめず、解説を読んでもピンとこないことが多いんです。

買いすぎは逆効果。2冊目以降は「解く量」に回す
練習方法の記事でもお伝えしたとおり、インバスケット関連の書籍は1〜2冊で十分です。インプット2割、アウトプット8割のバランスを崩してまで、読む本を増やすメリットはありません。
「3冊目を買おうかな」と思ったら、そのお金と時間は、解く練習と採点に回してください。そのほうが確実に点につながります。
おすすめ7冊の早見表
今回紹介する7冊を、タイプ別に先に一覧にしておきます。詳しい中身はこのあと1冊ずつ解説します。
| No. | 書名 | タイプ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 1 | マンガでやさしくわかるインバスケット思考 | 読む(入門) | 活字が苦手・まず全体像をつかみたい人 |
| 2 | 仕事ができる人がやっているインバスケット超入門 | 読む(入門) | 処理のコツを短時間で押さえたい人 |
| 3 | 究極の判断力を身につけるインバスケット思考 | 読む+体験 | 60分・20案件の量を一度体験したい人 |
| 4 | 管理職を目指す人のための インバスケット対策完全マニュアル | 解く(試験対策) | 試験対策の本命を1冊に絞りたい人 |
| 5 | 人材アセスメント受験者、管理職のためのインバスケット演習 | 解く(演習) | 演習量と解説で実力を上げたい人 |
| 6 | 管理職の「正しく判断する力」を鍛える! インバスケット思考ドリル | 解く(補助) | スキマ時間に1問ずつ鍛えたい人 |
| 7 | 限られた時間で結果を出す! 公務員のためのインバスケットトレーニング | 解く(公務員) | 自治体の昇任試験を受ける人 |
本を選ぶ前に、自分の試験の3つの条件を確認する
本の良し悪しより先に確認してほしいのが、「自分が受ける試験に合っているか」です。ここがずれていると、どんな良書でも遠回りになります。
確認1:回答の形式(記述式か選択式か)
インバスケット試験には、判断と指示を文章で書く記述式と、選択肢から選ぶ形式があります。会社がどちらかで、解く本の選び方が変わります。
迷ったら、まずは記述式で書ける本から始めてください。自分で考えて書く練習をしておけば、選択式にもそのまま応用できます。逆は難しいんです。
確認2:案件数と制限時間
典型的なのは、20〜30件の案件を60〜120分で処理する形式です。本番がこのタイプなら、案件同士がつながった「通し形式」の問題を、時間を測って解ける本が最低1冊は必要です。
1問ずつ独立した短い問題(ミニインバスケット)は、スキマ時間の練習には便利です。ただ、それだけでは全体を見渡して時間を配分する練習になりません。
確認3:受験する役職レベル
主任・係長向けと課長・部長向けでは、求められる視座が違います。問題の主人公が「店長」や「課長」など、自分の受験レベルに近い立場で書かれている本を選ぶと、判断の練習がそのまま本番に活きます。
✅ 採点する側から見た「本の模範解答」の読み方
本の模範解答は「唯一の正解」ではなく、考え方の一例です。採点で見ているのは、結論そのものより「誰に・何を・いつまでに・なぜ」が筋道立っているかどうか。回答例の言い回しを覚えるのではなく、判断の順番と理由の書き方を盗むつもりで読んでください。
そもそも自分の会社で何が出るのか分からない、という方は、まず全体像を整理しておくと本選びで迷いません。
【入門】最初に読む本3選
まずは「読む本」です。この3冊のうち、どれか1冊で十分。自分に合いそうなものを選んでください。
1. マンガでやさしくわかるインバスケット思考
著者:鳥原隆志/出版社:日本能率協会マネジメントセンター(2016年)
実家の居酒屋を継ぐことになった主人公が、オープン初日の混乱をインバスケット思考で乗り切るストーリーです。プロローグでインバスケットの基本を押さえたあと、「優先順位を決める」「問題解決力を身に付ける」「判断力を磨く」の3パートで進みます。
マンガ形式なので、インバスケットという言葉を初めて聞いた人でも抵抗なく読めます。「来月試験があると言われたけど、そもそも何をする試験なの?」という段階の人に向いています。
✅ こんな人におすすめ
・活字のビジネス書が続かない人
・インバスケットの全体像を1〜2日でつかみたい人
2. 仕事ができる人がやっているインバスケット超入門
著者:鳥原隆志/出版社:ぱる出版(2025年)
インバスケットの基本的な処理ができるようになるコツを、初心者向けにまとめた1冊です。前半でインバスケットを理解し、後半は「早く読み理解する」「優先順位をつける」「他人を巻き込む」「トラブルに対処する」「人を使う」「意思決定する」「伝える」など、10のステップでコツを解説しています。
読むことに時間をかけたくない人、試験で使える考え方を手短に押さえたい人に合います。刊行が新しいので、最初の1冊として手に取りやすいのも利点です。
✅ こんな人におすすめ
・ストーリーより、要点を順番に押さえたい人
・「人に任せる」「巻き込む」が苦手だと自覚している人
3. 究極の判断力を身につけるインバスケット思考
著者:鳥原隆志/出版社:WAVE出版(2011年)
インバスケット関連書籍の、いわば原点にあたる1冊です。洋菓子店に勤める23歳の主人公が突然店長に任命され、60分という制限時間で20案件を処理しなければならない、という設定で進みます。
読み物でありながら、本番に近い「60分・20案件」の量を体験できるのが最大の価値です。刊行は古めですが、案件の読み方や優先順位の考え方といった土台は今も変わりません。
✅ こんな人におすすめ
・本番の「量」の感覚を一度体で知っておきたい人
・入門書と演習書の中間を1冊で済ませたい人
3冊の選び分けはシンプルです。活字が苦手なら1、コツを短時間でつかみたいなら2、本番の量を体験したいなら3。迷ったら、試験までの時間が長い人ほど3がおすすめです。
【演習・試験対策】手を動かす本3選
次は「解く本」です。ここがいちばん大事なところ。読む本で考え方をつかんだら、できるだけ早くこちらに移ってください。
4. 管理職を目指す人のための インバスケット対策完全マニュアル
著者:鳥原隆志/出版社:WAVE出版(2024年)
タイトルどおり、昇格試験としてのインバスケット対策に特化した1冊です。構成は「どういう試験なのか」「受験が決まったら何をするか」「どういう問題が出るのか」から始まり、演習問題の体験、解説、回答例の分析へと進みます。
試験の全体像から演習・回答例の分析までが1冊の流れでつながっているので、「試験対策用に1冊だけ買うなら?」と聞かれたら、私はまずこれを挙げます。初めて受験する主任・係長クラスにも使いやすい構成です。
✅ こんな人におすすめ
・試験対策の本命を1冊に絞りたい人
・初めての受験で、何から手を付ければいいか迷っている人
5. 人材アセスメント受験者、管理職のためのインバスケット演習
著者:西山真一/監修:廣瀬正人
人材アセスメント(社外の専門家が演習や面接を通して管理職としての適性を評価する審査)を受ける人や、管理職を目指す人向けの演習書です。インバスケット演習に取り組みながら、解説を通してマネジメントの基本的な考え方や問題解決の進め方を学べる構成になっています。
鳥原隆志さん以外の著者による演習書として、別の視点で問題に触れられるのも価値があります。解説を読み込む前提の本なので、入門の1冊を読んでから取り組むほうが、解説の意味がつかみやすいはずです。
✅ こんな人におすすめ
・会社の試験が外部のアセスメント形式で行われる人
・1冊目の演習を終え、別の視点の問題で練習したい人
6. 管理職の「正しく判断する力」を鍛える! インバスケット思考ドリル
著者:鳥原隆志/出版社:同文舘出版(2025年)
一問一答式の「ミニインバスケット」を50問収録したドリルです。「状況把握力」「優先順位」「状況判断力」「戦略的思考」「リーダーシップ」の5つのステップで構成されていて、さまざまな職業・環境設定の問題を解きながら、自分に足りない行動のプロセスを見つけられます。
1問ずつ完結するので、通勤時間や昼休みに1〜2問ずつ進められるのが強みです。ただし、案件同士がつながった通し形式ではないため、この1冊だけでは本番の時間配分の練習にはなりません。4か5とセットで使う「補助の1冊」と考えてください。
✅ こんな人におすすめ
・まとまった練習時間が取りにくい人
・通し形式の演習で見つかった弱点を、1問単位で鍛え直したい人

【公務員の昇任試験】自治体の課長設定で練習できる1冊
7. 限られた時間で結果を出す! 公務員のためのインバスケットトレーニング
著者:鳥原隆志/出版社:ぎょうせい(2020年)
テストが「もし自分が自治体職員の課長だったら」という設定で作られている、公務員向けの1冊です。解説は自治体職員向けセミナーでのテストの回答をもとに作られていて、自治体職員が判断に迷いやすかったポイントを押さえた内容になっています。
民間企業向けの本でも考え方は学べますが、主人公の立場や判断の前提が自治体の課長に合わせてあるぶん、自分の職場に置き換えて練習しやすいのが強みです。自治体・公的機関で昇任試験を受ける方は、解く1冊をこれにしてください。
✅ こんな人におすすめ
・自治体・公的機関の昇任試験でインバスケットが出る人
・民間向けの問題設定だと、自分の職場に置き換えにくい人
昇任試験では、インバスケットと並んで論文が課されることも多いですよね。論文対策も並行している方はこちらもどうぞ。
レベル別・残り期間別の「2冊の組み合わせ」
受験レベル別のおすすめ
ここまでの7冊を、受験する立場ごとに「読む1冊+解く1冊」の組み合わせに落とし込むと、こうなります。補助の本は、余裕がある人だけで大丈夫です。
| 受験する立場 | 読む1冊 | 解く1冊 | 余裕があれば |
|---|---|---|---|
| 初めて受ける主任・係長 | 1 または 2 | 4 | 6 |
| 課長(受験2回目以降を含む) | 3 | 4 または 5 | 6 |
| 部長 | 3 | 5 | 下記の経営版 |
| 公務員(自治体の昇任試験) | 1 または 3 | 7 | 6 |
部長クラスで、全社や事業全体を見た判断を問われる人は、同じ著者の『インバスケット経営思考トレーニング』(朝日新書・2021年)も選択肢になります。売上や収入が2割減った状況で行うべき判断を、ストーリー形式の4択問題で解説した本です。選択式なので、記述の練習は5で補ってください。
残り期間別の使い方
本の選び方は、試験までの残り時間でも変わります。
3ヶ月以上ある人
読む1冊を最初の週に読み切り、解く1冊を2周します。そのうえで本番形式の通し練習を重ねていけば十分間に合います。科目全体の計画は、勉強法の記事で12週間の逆算スケジュールにまとめています。
1ヶ月前後の人
読む本は2〜3時間で流し読みにとどめ、すぐ解く本に入ります。練習方法の記事の4週間ロードマップと同じ配分です。
2週間を切っている人
新しい本は買わないでください。手元の問題と、このサイトの無料の練習問題で、本番と同じ時間の通し練習を繰り返すほうが点につながります。

本を買ったのに点が伸びない人の3つの使い方
本を選んだら、次は使い方です。評価する側から見ていると、「本は持っているのに伸びない人」には共通点があります。
❌ NG1:読んで満足して、解かない
解説を読むと「なるほど」と思えるので、分かった気になりやすいんです。でも本番で求められるのは、制限時間内に自分の手で書くこと。読んだ量は採点されません。
❌ NG2:模範解答の言い回しを覚えて当てはめる
本番は会社ごとに主人公の立場も案件も違います。覚えた回答を当てはめると、設定とずれた指示になりがちです。採点では「この状況で、なぜその判断なのか」が見られています。
❌ NG3:自己採点が「なんとなく書けた」で終わる
回答と解説を見比べても、何が足りなかったのかを言葉にしないと、同じクセが残ります。点が伸びない人の多くは、ここで止まっています。
✅ 伸びる人の本の回し方
・解く本は1冊を2周まで。3周目は答えを覚えてしまい「判断」の練習にならない
・本番形式の通し練習は、問題を変えながら合計3セット以上こなす
・1問解くごとに「誰に・何を・いつまでに・なぜ」が書けていたかを振り返る
自己採点の物差しは、評価項目を知っておくと一気にブレなくなります。よくある減点パターンとあわせて確認しておきましょう。
本の次は「採点される練習」に進む
市販の本には、ひとつだけ弱点があります。自分の回答を、誰も採点してくれないことです。解説はあっても、「あなたのこの書き方はNG寄り」とは教えてくれません。
だからこそ、本で型をつかんだら、採点の目が入る練習に進むのが近道です。
まずは無料の練習問題で腕試し
このサイトでは、テーマ別のインバスケット練習問題を5セット公開しています。各問題に採点者の視点からの解説を付けているので、本で学んだ型が使えているかの確認にちょうどいいはずです。初級の優先順位判断から始めてみてください。
本番形式で答え合わせしたい人へ
本番と同じ60分・全20案件を通しで解き、自分の回答がNG寄りかOK寄りかを確かめたい方のために、模擬試験の教材も用意しています。
✅ インバスケット60分フル模試(note)
本番形式の全20案件の問題冊子と、全案件の模範解答・採点つき解説をセットにした演習教材です。本で型をつかんだあとの「答え合わせ」に使ってください。

よくある質問
Q1. インバスケットの本は何冊買えばいいですか?
「読む1冊」と「解く1冊」の2冊で十分です。時間に余裕がある人だけ、スキマ時間用のドリルを補助で足してください。それ以上は、本を増やすより解く回数を増やすほうが点につながります。
Q2. なぜ鳥原隆志さんの本ばかりなのですか?
鳥原隆志さんは株式会社インバスケット研究所の代表で、出版社のプロフィールでは著書50冊以上とされています。インバスケット関連の市販書籍の多くを手がけているため、どうしても同じ著者の本が並びます。別の視点がほしい人は、この記事で紹介した西山真一さんの演習書を組み合わせてください。
新刊を含む著書の一覧は、著者の公式サイトで確認できます。
鳥原隆志オフィシャルサイト(著書一覧)
Q3. 刊行が古い本でも大丈夫ですか?
案件の読み方や優先順位の考え方といった土台は変わらないので、古い本でも学べます。ただ、試験対策としての使いやすさを重視するなら、昇格試験向けに書かれた『インバスケット対策完全マニュアル』(2024年)のような新しめの本を「解く1冊」にするのがおすすめです。
Q4. 電子書籍でも大丈夫ですか?
読む本は電子書籍でも問題ありません。解く本は、できれば紙をおすすめします。複数の案件を並べて見比べたり、メモを書き込んだりする練習は、紙のほうが本番に近い感覚でできるからです。
Q5. 本だけで合格できますか?
本だけで合格する人もいます。ただし条件は、時間を測って解き、自分の回答を厳しく振り返ることです。自分では弱点が見えにくいと感じたら、評価項目を物差しにした自己採点や、模範解答つきの模試で客観的に確かめてください。
まとめ:本は2冊に絞り、浮いた時間で解いて振り返る
インバスケットの本選びのポイントを整理します。
✅ この記事のポイント
・本は「読む1冊+解く1冊」の2冊で足りる
・買う前に、回答形式・案件数と時間・役職レベルの3つを確認する
・試験対策の本命は『インバスケット対策完全マニュアル』、公務員は公務員向けの1冊
・ミニ問題のドリルは補助。通し形式の練習は別に確保する
・解く本は1冊2周まで、通し練習は合計3セット以上、1問ごとに振り返る
インバスケットは、正しく練習すれば確実に伸びる試験です。本選びに時間をかけすぎず、今週中に1冊目を手に取って、最初の1問を解くところから始めてみてくださいね。応援しています。
インバスケット以外の試験も含めて、昇格試験の全体像を押さえておきたい方はこちらもどうぞ。

