「この資料、何に使うんですか?」
入社2年目の部下にそう聞かれて、一瞬ムッとしたことがあります。こっちは急いでいるんだから、まずやってほしい。正直、そう思いました。
でも、資料の目的を2分ほど話したら、返ってきたのは私が頼んだものより使いやすい資料でした。足りなかったのは部下のやる気ではなく、私の説明のほうだったんです。
Z世代の部下について、「価値観が違いすぎて、どう接すればいいかわからない」という声をよく聞きます。飲み会に来ない、定時で帰る、指示の理由を聞いてくる、すぐ辞める。そう感じている管理職の方も多いかもしれません。
この記事では、部下を持つ営業部長として私が実際にやっている関わり方を、厚生労働省のデータも交えてまとめます。先に結論を言うと、Z世代の部下のマネジメントで大事なのは、世代の特徴を覚えることではなく、上司と部下の「前提のズレ」を言葉にしてすり合わせることです。最後に、このテーマが昇格試験でどう問われるかにも触れます。
✅ この記事でわかること
・「最近の若手はすぐ辞める」をデータで確かめると見えること
・世代のイメージを、決めつけではなく「質問のリスト」として使う方法
・上司と若手でズレやすい5つの前提と、すり合わせの一言
・前提をまとめてそろえる「はたらき方メモ」の作り方
・場面別のすれ違いと、ベテランとの対立の扱い方
「Z世代はわからない」の正体を、まずデータで確かめる
関わり方の話に入る前に、「Z世代の部下はこういうもの」というイメージが、どこまで本当なのかを確かめておきます。ここがずれていると、打ち手もずれてしまうからです。
Z世代は、区切り方が決まっていない「ゆるい呼び名」
Z世代は、おおむね1990年代半ばから2010年代前半ごろに生まれた世代を指す言葉です。ただ、何年生まれからをZ世代と呼ぶかは調査や論者によって違い、決まった定義があるわけではありません。職場で言えば、だいたい20代の若手社員をイメージしておけば大きくは外れません。
つまり「Z世代」は、性格や能力を表す言葉ではなく、生まれた時期でざっくり区切った呼び名です。この記事でZ世代と書くときも、「若手の部下」くらいの意味で読んでください。
「すぐ辞める」は、今に始まった話ではない
よく言われるのが「最近の若手はすぐ辞める」です。厚生労働省の発表では、2023年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた人は31.2%でした(高校卒は36.9%)。
3人に1人が3年以内に辞める。たしかに多く見えます。ただ、同じ統計を過去にさかのぼると、印象がかなり変わります。
| 大学卒業年(3月卒) | 就職後3年以内の離職率 |
|---|---|
| 平成12年(2000年) | 36.5% |
| 平成16年(2004年) | 36.6% |
| 平成21年(2009年) | 28.8% |
| 令和2年(2020年) | 32.3% |
| 令和5年(2023年) | 31.2% |
出典:学歴別就職後3年以内離職率の推移(厚生労働省)から一部の年を抜粋。最新年の数値は新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)で公表されたものです。
大卒の3年以内離職率は、平成7年3月卒から令和5年3月卒まで、低い年で28.8%、高い年でも36.6%の間に収まっています。「3人に1人が3年以内に辞める」は、30年近く続いているんです。
しかも、35%前後の高い水準が続いた平成12年〜17年ごろに新卒で働き始めたのは、いま40代半ばから後半くらいの人たち。ちょうど管理職として若手を見ている世代です。「自分たちの頃はこんなに辞めなかった」は、統計で見ると当てはまらないんですよね。
1年目に辞める若手の理由、いちばん多いのは「人間関係」
では、辞めた若手は何を理由に挙げているのか。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、15〜34歳の労働者に、学校を出て初めて勤めた会社を辞めた理由を聞いています。3つまでの複数回答で、全体では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」28.5%、「人間関係がよくなかった」26.4%、「賃金の条件がよくなかった」21.8%の順でした。
これを、その会社に勤めていた期間で分けると、はっきりした違いが出ます。

| 初めての会社に勤めた期間 | 辞めた理由(多い順に3つ) |
|---|---|
| 3か月未満 | 人間関係 52.3%/仕事が自分に合わない 42.1%/労働時間・休日・休暇 40.8% |
| 3か月〜6か月未満 | 人間関係 40.1%/労働時間・休日・休暇 32.5%/仕事が自分に合わない 29.6% |
| 6か月〜1年未満 | 人間関係 37.4%/仕事が自分に合わない 34.6%/労働時間・休日・休暇 32.4% |
| 1年〜2年未満 | 労働時間・休日・休暇 29.1%/人間関係 25.1%/賃金 22.3% |
| 2年〜3年未満 | 労働時間・休日・休暇 30.3%/賃金 30.0%/人間関係 23.1% |
出典:令和5年若年者雇用実態調査の概況(厚生労働省)の表17から作成。項目名は一部短くしています。
1年未満で辞めた人では、どの期間でも「人間関係」がいちばん多い。入社1年目の若手にとって、職場の人間関係といえば、まず直属の上司や指導役の先輩でしょう。
もう1つ目を引いたのが、辞めた理由に「1つの会社に長く勤務する気がなかったため」を挙げた人が5.5%しかいなかったことです。最初から転職ありきで入ってくる若手は、少なくともこの調査では少数派でした。
なお、この調査の対象は15〜34歳で、Z世代だけの数字ではありません。理由も辞めた本人の回答です。それでも、若手が辞める理由を「世代の性格」ではなく「職場の条件」として見るには、十分な材料だと思います。世代の問題にしてしまうと、上司に打てる手がなくなります。人間関係や仕事の任せ方なら、上司が変えられる部分があります。
年代を問わず、部下の離職の予兆と防ぎ方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
世代のラベルは「決めつけ」ではなく「質問のリスト」として使う
データを見ると、「Z世代だから」で説明できることは、思ったより少ないとわかります。とはいえ、育ってきた環境が違えば、仕事の進め方や連絡の仕方に違いが出るのも自然なことです。
そこで私は、世代のイメージを「この人もそうだ」と決める材料ではなく、「この人はどうだろう」と確かめる質問のリストとして使っています。
❌ やってはいけない世代ラベルの使い方
・本人に向かって「Z世代だから〜でしょ」と言う
・うまくいかない理由を「最近の若手は」で片づける
・自分の若手時代を基準に「自分の頃は」と比べる
どれも、言われた側は「この上司は自分を見ていない」と受け取ります。1つ目は、悪気のない雑談でもよく出るので要注意です。
✅ イメージを質問に変える例
・「若手はチャットのほうが楽らしい」→「連絡はチャットと電話、どっちがやりやすい?」
・「若手は飲み会が苦手らしい」→「歓迎会、ランチと夜ならどっちがいい?」
・「若手はすぐ辞めるらしい」→「この仕事で、どんな力がつくと面白そう?」
イメージが当たっていれば確認できるし、外れていればその人のことが1つわかる。どちらに転んでも損はありません。
上司と若手でズレやすい「5つの前提」
ここからが本題です。若手の部下と働いてきて、すれ違いの原因になりやすかったのは、価値観そのものよりも「当たり前だと思っていること」、つまり前提のズレでした。
次の表は、私の経験から整理したもので、統計ではありません。若手全員に当てはまるわけでもないので、前の章のとおり、確かめる質問として使ってください。

| 前提 | 上司側によくある前提 | 若手側によくある前提 |
|---|---|---|
| 理由の説明 | 言われたら、まずやる | 目的がわかれば、やりやすい |
| 時間の境界 | 飲み会や時間外の連絡も仕事のうち | 勤務時間外は自分の時間 |
| フィードバック | 問題がなければ、特に言わない | よかったのかどうかを知りたい |
| キャリアの見通し | まずは数年、黙って経験を積む | この仕事で何が身につくか知りたい |
| 連絡手段 | 急ぎは電話、大事なことは対面 | まずはチャット、電話は身構える |
前提1:理由の説明|「なぜ」は反抗ではなく、段取りのための質問
冒頭の「何に使うんですか?」が、まさにこれです。上司の世代には「言われたことはまずやる」が当たり前だった人も多いので、理由を聞かれると、指示に逆らわれたように感じがちです。
でも若手の側は、多くの場合、どこまで丁寧にやればいいか、何を優先すればいいかを判断したくて聞いています。目的がわからないまま作ると、時間をかけた割に使えない資料ができる。それを避けたいんです。
✅ すり合わせの一言
「これは来週の部長会で、予算を決めるのに使う資料。数字の正確さがいちばん大事で、見た目は簡単でいいよ」
目的、使う場面、こだわってほしい点を1文で添える。それだけで、仕事の精度は目に見えて変わります。手が止まってしまう新人への判断基準の渡し方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
前提2:時間の境界|勤務時間外を「仕事の延長」にしない
飲み会、休日の連絡、終業後のチャット。上司の世代では「付き合いも仕事のうち」だった場面が、若手には「自分の時間に仕事が入ってくる」ように映ることがあります。
ここで大事なのは、どちらが正しいかを決めることではありません。仕事に必要な情報が、勤務時間外の場でしか流れない状態をなくすことです。飲み会で決まったことを翌朝に共有しなければ、来なかった人は情報で損をします。それでは、参加が実質的な強制になってしまいます。
✅ すり合わせの一言
「業務の連絡は、基本的に勤務時間内にするね。どうしても時間外に送るときは、急ぎかどうかを書いておく」
「飲み会は来られる人だけで大丈夫。仕事のことは、そこでは決めないから」
前提3:フィードバック|「何も言わない」は「よかった」に聞こえない
上司の側には、問題がなければ特に何も言わない、というスタイルの人も多いと思います。私もそうでした。でも若手から見ると、何も言われないのが「よかった」なのか「期待外れ」なのか、区別がつきません。
大げさに褒める必要はありません。大事なのは、その日のうちに、短く、具体的に返すことです。
✅ すり合わせの一言
「さっきの見積もり、前提条件を最初に書いてくれたから、先方の確認が早く済んだよ。次もあの形でいこう」
承認やフィードバックの型は、モチベーションの記事で詳しく書いているので、あわせて参考にしてください。
前提4:キャリアの見通し|「何が身につくか」を仕事と一緒に渡す
「まずは数年、黙って経験を積め」と言われて育った上司は少なくないはずです。ただ若手の側は、いまの仕事が自分の何につながるのかが見えないと、不安になりやすいようです。
単調に見える仕事ほど、「身につくもの」を1つだけ添えて渡してください。
✅ すり合わせの一言
「この議事録づくり、地味だけど、会議で何が決まって何が決まらなかったかを見分ける練習になる。いずれ自分で会議を回すとき、そのまま役に立つよ」
半年後や数年後のキャリアの話は、日々の指示とは別に時間をとるのがおすすめです。キャリア対話の進め方は、部下の成長を促す5つの実践法で紹介しています。
前提5:連絡手段|「急ぎ度」で手段を決めておく
電話が鳴るとドキッとする、という若手は珍しくありません。逆に上司の世代は、チャット1行の報告を「軽い」と感じることがあります。
どちらかに合わせるより、急ぎ度で手段を使い分けるルールを、チームで決めてしまうほうが早いです。私が使っているルールは、次のとおりです。
✅ 連絡手段のルール例
・今すぐ判断が要る(お客様対応・事故・トラブル)→ 電話
・今日中に返事がほしい → チャットに「本日中」と書いて送る
・今週中でいい → チャットかメール
・体調不良などの休みの連絡 → チームで決めた手段で(チャットでも可)
ルールを決めていないのに「普通は電話でしょ」と責めるのは、後出しです。決めていなかったなら、責める前にルールを決めましょう。
前提をそろえる「はたらき方メモ」|上司から先に見せる
5つの前提は、気づいたときに1つずつ話してもいいのですが、私は配属や異動のタイミングで、まとめてすり合わせるようにしています。使うのは、A4半分ほどの「はたらき方メモ」です。
ポイントは、上司が自分のメモを先に出すことです。部下にだけ書かせると、ただの提出物になってしまい、本音が出てきません。

✅ はたらき方メモの項目(上司も部下も同じ)
1. 連絡の手段と、急ぎのときの合図
2. 相談したいタイミング(途中ですぐ聞きたい/ある程度まとめてから)
3. フィードバックの受け取り方(その場で/あとで1対1で)
4. 勤務時間外の連絡についての考え
5. いま力を入れたいこと、身につけたいこと
6. 苦手なこと、避けたいやり方
たとえば上司のメモなら、「急ぎは電話で。相談は途中でも大歓迎。指摘はその場でしてほしい。夜のチャットは返信不要」くらいの短さで十分です。
❌ メモに入れないもの
家族構成、恋人の有無、休日の過ごし方など、仕事に関係のない私生活は項目に入れないでください。本人が自分から話すのは構いませんが、上司が聞く項目にすると、それだけでプレッシャーになります。
メモは一度作って終わりではなく、担当や役割が変わったときに見直します。書いた内容を深めるのは、普段の1on1の場で十分です。
もう1つ大事なのが、このメモを若手だけでなく、チーム全員と交わすことです。若手だけを特別扱いしているように見えると、ベテランとの間に溝ができます。年上の部下とも同じメモを交わしておくと、関係づくりの助けになります。
場面別|若手の部下とのすれ違いと、関わり方
実際の場面でどう言えばいいか。管理職の方からよく相談される5つの場面で整理します。
場面1:歓迎会や飲み会を断られた
❌ NG
「付き合いも仕事のうちだよ」
✅ OK
「了解。大事な話は、明日の朝会で共有するね」
断ったことを気まずく思わせないのがいちばんです。参加しなかった人が情報で損をしない形にしておけば、次は来てくれることもあります。
場面2:定時ぴったりに帰る
❌ NG
「みんなまだ残ってるけど、大丈夫?」
✅ OK
仕事が終わっているなら、何も言わない。終わっていないなら「明日の10時に、あの資料が必要なんだ。今日どこまで進められそう?」
定時に帰ること自体は、何の問題もありません。問題になるのは、必要な仕事が終わっていないときだけです。そのときは、時間ではなく仕事の期限で話してください。
場面3:「それ、意味ありますか?」と聞かれた
❌ NG
「いいから、やって」
✅ OK
「目的は〇〇なんだ。もっといいやり方があったら教えて」
前提1の話です。目的を伝えたうえで、本当に意味がなさそうなら、やめる判断をするのも上司の仕事です。若手の一言で、惰性で続いていた作業が1つ減るなら、それはチームにとって得です。
場面4:休みの連絡がチャット1行で来た
❌ NG
「休むなら電話してくるのが常識だろう」
✅ OK
「連絡ありがとう。お大事に」と返す。ルールを決めていなかったなら、後日チームで連絡の手段を決める。
前提5の話です。体調が悪いときに電話をかけるのは、それ自体が負担です。チャットで困るなら、それはルールを決めていなかった上司の側の宿題です。
場面5:「管理職にはなりたくない」と言われた
❌ NG
「そんなこと言っていたら、成長しないよ」
✅ OK
「そうなんだ。じゃあ、どんな仕事なら面白くなりそう?」
管理職を目指さないことと、成長しないことは別の話です。専門性を深めたい人もいれば、まだイメージが湧かないだけの人もいます。否定せずに聞いておけば、何年か先に考えが変わったとき、最初に相談される上司になれます。
ベテランと若手がぶつかったら|「世代の対立」にしない
若手とベテランの間で、仕事のやり方がぶつかることがあります。紙の資料かデータの共有か、電話かチャットか、集まって会議をするかしないか。ここで上司がやってはいけないのが、「どちらの世代が正しいか」を決めることです。
私は、次の3つの順番で扱うようにしています。

✅ 世代の対立にしない3ステップ
1. 分ける:お客様や品質に関わる「必要なこと」と、やり方の「好み」を切り分ける
2. ルールにする:必要なことだけを、チームの決まりとして言葉にする。好みの部分は各自に任せる
3. 両方試す:決めきれないものは、期間を区切って両方のやり方を試し、結果で決める
大事なのは、話の主語を「若手は」「ベテランは」から「このチームでは」に変えることです。世代の話をしている限り、どちらかが負けることになります。チームのルールの話なら、誰も負けずに済みます。
どちらの立場からも意見を言いやすいチームの土台づくりは、こちらの記事が参考になります。
昇格試験でも問われる|「若手育成」「世代間ギャップ」の答え方
若手の育成や世代間ギャップは、実務だけの話ではありません。昇格試験でも、論文で「若手社員の育成について述べよ」と問われることがあります。面接で「価値観の違う若手の部下に、どう接しますか」と聞かれることもあります。
❌ 減点されやすい答え方
「Z世代は打たれ弱く、ワークライフバランスを重視する傾向があるため、丁寧に褒めて伸ばしていきます」
世代のイメージから入ると、面接官には「目の前の部下を見ていない人」に映ります。施策も「褒める」だけで、具体的に何をするのかが見えません。
✅ 評価される答え方(課長の面接の例)
「世代で一括りにせず、まず一人ひとりの前提を確かめます。配属時に、連絡の手段や相談のタイミング、身につけたいことを、私の側から先に開示してすり合わせます。仕事を渡すときは目的と身につく力を一言添え、成果にはその日のうちに具体的に返します。チームとしては、業務の情報が勤務時間外の場だけで流れないようにし、ベテランとのやり方の違いは、世代の話ではなくチームのルールとして決めます」
ポイントは、個人への関わり方と、チームの仕組みの両方を語れているかです。管理職の視座は、ここで見られています。
論文で書く場合は、「若手が育たない」を世代のせいにせず、何が足りないのか、なぜそれが放置されてきたのかまで掘り下げると評価が上がります。掘り下げ方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
面接でよく聞かれる質問と答え方は、こちらでまとめて確認できます。
昇格試験でどんな力が見られているのか、全体像から整理したい方はこちらからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. Z世代の部下を叱っても大丈夫ですか?パワハラと言われないか心配です
叱ること自体は問題ありません。業務上必要な注意をしないほうが、本人のためにもチームのためにもなりません。大事なのは、人格ではなく行動に絞って、1対1で、短く伝えることです。世代によって叱り方を変える必要はありません。具体的な境界線と言い方はパワハラにならない叱り方で解説しています。
Q2. 飲み会に誘うこと自体、やめたほうがいいですか?
誘うのは構いません。ただ、断っても評価や情報で損をしないことを、先に伝えておいてください。「来られる人だけで」と一言添え、仕事の話は勤務時間内の場で共有する。それが守られていれば、誘うこと自体が負担になることは少なくなります。
Q3. 若手の育成は、年の近い先輩に任せたほうがうまくいきませんか?
相談相手として年の近い先輩をつけるのは、とても効果的です。ただ、役割の期待や評価、仕事の割り振りを決めるのは上司の仕事です。任せきりにすると、先輩の負担が増え、上司と若手の接点もなくなります。先輩には日々の相談を、上司は前提のすり合わせとフィードバックを、と分担してください。
Q4. 自分も20代のリーダーです。年の近い部下でも、前提のすり合わせは必要ですか?
必要です。むしろ年が近いほど、「言わなくてもわかっているはず」と思い込みやすくなります。同じ世代でも、連絡の好みや相談したいタイミングは人それぞれです。年齢に関係なく、はたらき方メモを先に見せるところから始めてください。
Q5. 「すぐ辞めるかも」と思うと、大事な仕事を任せるのが怖いです
気持ちはわかりますが、任せないほうが辞める理由をつくります。先が見えない状態が続くと、若手は外に答えを探しがちです。大事な仕事は、ゴールと期限、途中で見せてもらうタイミングを決めたうえで任せてください。万一に備えるなら、仕事を一人に抱え込ませず、手順をチームで共有しておけば十分です。
まとめ|世代を知るより、目の前の部下に聞く
✅ この記事のポイント
・「3人に1人が3年以内に辞める」は30年近く続く傾向で、Z世代だけの話ではない
・1年未満で辞めた若手の理由は「人間関係」が最多。上司が関われる部分がある
・世代のイメージは、決めつけではなく確かめる質問のリストとして使う
・ズレやすい前提は、理由・時間・フィードバック・キャリア・連絡手段の5つ
・前提は「はたらき方メモ」で、上司から先に見せてすり合わせる
・ベテランとのやり方の違いは、世代の話ではなくチームのルールにする
冒頭の「何に使うんですか?」の一件以来、私は仕事を頼むとき、目的を1文添えるようにしています。それだけで、若手に限らず、チーム全体の仕事がずいぶん回りやすくなりました。
まずは次に仕事を頼むとき、目的を1文だけ添えてみてください。そして配属や異動のタイミングで、自分の「はたらき方メモ」を先に見せてみる。世代について書かれた本を読むより、ずっと早く、目の前の部下のことがわかるはずです。
