「少しお時間いいですか」
部下にそう言われて会議室に入ったら、退職の話だった。管理職なら、一度は経験があるかもしれません。そして多くの上司が、こう感じます。「突然すぎる」と。
でも、部下の側から見ると、突然ではないことがほとんどです。辞めると決めるまでに何ヶ月も迷い、その間に小さなサインを出しています。上司がそれに気づかなかっただけ、ということが多いんです。
私自身、課長時代に信頼していた中堅の部下から退職を切り出されたことがあります。振り返ると、半年ほど前から週報が短くなり、会議でもほとんど発言しなくなっていました。気づいてはいたのに、「忙しいんだろう」で済ませていたんです。
この記事では、部下を持つ営業部長として私が実務で使っている、離職の予兆の見つけ方と、管理職ができる防止策をまとめます。先に結論を言うと、部下が辞める上司のいちばんの特徴は、厳しさではなく「変化に気づけないこと」です。最後に、このテーマが昇格試験でどう問われるかにも触れます。
✅ この記事でわかること
・部下が辞める本当の理由と、それが上司に届かないわけ
・部下が辞める上司の特徴5つ
・離職の予兆が出る3つの層(言葉・行動・心身)
・予兆に気づいたときの最初の一声と、聞く順番
・上司の勘に頼らない、離職を防ぐ5つの仕組み
部下が辞める本当の理由は、退職届に書かれない
退職届の理由欄は、たいてい「一身上の都合」です。では、実際にはどんな理由で辞めているのでしょうか。
厚生労働省の令和7年雇用動向調査(2026年8月公表)では、転職した人に、前の勤め先を辞めた理由を本人に答えてもらっています。主な項目を抜き出すと、次のとおりです。
| 前職を辞めた理由 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 8.5% | 12.9% |
| 職場の人間関係が好ましくなかった | 8.9% | 11.5% |
| 給料等収入が少なかった | 9.9% | 8.6% |
| 会社の将来が不安だった | 6.9% | 4.3% |
| 仕事の内容に興味を持てなかった | 5.2% | 4.6% |
| 能力・個性・資格を生かせなかった | 5.2% | 3.9% |
| その他の個人的理由 | 16.8% | 23.8% |
出典:令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)の表5から抜粋。「定年・契約期間の満了」「会社都合」などは省略しています。
この表から、2つのことが読み取れます。
1つ目は、女性では「労働条件」と「職場の人間関係」が、その他の個人的理由を除いた上位2つだということ。男性でも人間関係は8.9%あります。どちらも、現場の上司の関わり方で変わる部分を含む理由です。
2つ目は、男女ともにいちばん多いのが、どの項目にも当てはまらない「その他の個人的理由」だということです。辞める理由は、選択肢の言葉にきれいに収まるとは限りません。
「上司が原因です」とは、まず言われない
この調査の選択肢には、「上司」という項目はありません。上司との関係が理由だった人が、人間関係を選んだのか、その他を選んだのかは、数字からは分からないんです。
私の経験でも、退職の面談で上司への不満を口にする人はほとんどいません。辞めていく人にとって、最後に波風を立てる理由がないからです。以前、辞めた部下と1年ほどたって会ったとき、初めて本当の理由を聞きました。「相談しても、何も変わらないと思ったんです」と。
だから、辞める理由を退職面談で聞き出そうとしても、正直なところ遅いんです。上司が拾えるのは、その前に出ている予兆だけです。
切り出された時点で、迷いはほぼ終わっている
退職を切り出すのは、部下にとって相当なエネルギーが要ることです。何ヶ月も迷い、家族に相談し、次の行き先を決めてから話す人もいます。
その段階で引き留めても、決意を覆すのは簡単ではありません。勝負は、切り出される前の数ヶ月にあります。この記事の中心は、その数ヶ月で上司に何ができるか、です。
部下が辞める上司の特徴5つ|共通点は「気づけないこと」
ここからは、上司の側の話です。私がこれまで見てきた中で、部下が続けて辞めていく職場の上司には、共通するクセがありました。悪意があるわけではありません。むしろ、忙しくて真面目な上司ほど陥りやすいものばかりです。

特徴1:部下の「いつも」を知らない
予兆に気づけない上司は、そもそも比べる基準を持っていません。この部下は普段、週報をどれくらい書くのか。会議でどのくらい話すのか。何に興味を持っているのか。
「いつも」を知らなければ、「いつもと違う」も分かりません。冒頭の私の失敗は、まさにこれでした。週報が短くなったことには気づいたのに、それがどれほど大きな変化なのかを判断できなかったんです。
特徴2:頼みやすい人に、仕事を寄せ続ける
急ぎの仕事が来たとき、つい「あの人なら大丈夫」と同じ部下に頼んでしまう。上司としては信頼の表れのつもりです。
でも、頼まれる側から見ると、できる人ほど仕事が増え、できない人ほど楽になる職場です。「彼なら大丈夫」が、いちばん辞めやすい人をつくります。しかもこういう部下は、限界まで不満を言いません。
特徴3:要望を「預かったまま」返さない
部下から「この業務、やり方を変えられませんか」と相談される。上司は「上に言っておくよ」と答える。そして、その後どうなったかを伝えない。
結果がNOだったとしても、返ってこないよりはずっといいんです。返事がないと、部下は「相談しても何も変わらない」と学習します。先ほどの「本当の理由」と、まったく同じ言葉ですよね。
特徴4:「この先」の話をしない
目の前の仕事の指示や進捗確認はしても、半年後や3年後の話をしない。部下にとって、この職場で自分がどうなっていくのかが見えません。
先が見えない状態が続くと、部下は外に答えを探し始めます。転職サイトを開くのは、たいていこのタイミングです。
特徴5:辞めた人のことを、残った部下の前で悪く言う
「あいつは逃げた」「この時期に辞めるなんて無責任だ」。言いたくなる気持ちは分かります。でも、残ったメンバーはその言葉を聞いて、こう考えます。「自分が辞めるときも、こう言われるんだな」と。
その結果、迷っている部下ほど上司に相談しなくなり、黙って準備を進めるようになります。1人の離職が、次の離職の予兆を見えなくしてしまうんです。
❌ この5つ以外にも、部下を遠ざける行動はあります
感情的に叱る、他の部下と比べる、結果だけで評価する。こうした行動も離職の原因になりますが、それぞれ別の記事で詳しく解説しているので、ここでは繰り返しません。この記事は「気づけない上司」に絞ってお話しします。
離職の予兆は「言葉→行動→心身」の順に出る
では、予兆はどこに出るのか。考え方の土台になるのが、厚生労働省がメンタルヘルス対策の資料で示している「いつもと違う」部下に気づくという視点です。
この資料では、「いつもと違う」と感じるのは、部下がそれまでに示してきた行動のパターンからズレたときだと説明しています。比べる相手は他の部下ではなく、その人自身の「いつも」だということです。
この視点を離職の予兆に当てはめると、私の経験では、変化はおおむね3つの層で、浅いほうから順に出てきます。

| 層 | 出やすい変化(例) | 上司がやること |
|---|---|---|
| 言葉 | 報告や相談が短くなる・減る/「大丈夫です」「お任せします」が増える/先の目標や予定の話をしなくなる | 1週間以内に、1対1で声をかける |
| 行動 | 会議で発言しなくなる/新しい仕事や長期の仕事を引き受けたがらない/頼まれていないのに、自分の仕事の手順をまとめ始める | 仕事の量と中身を一緒に見直す |
| 心身 | 遅刻・早退・欠勤が増える/表情に活気がない/ミスが目立つ | 引き留めより先に、人事・産業医につなぐ |
心身の欄は、厚労省の資料にある「いつもと違う」部下の例から抜き出したものです。言葉と行動の欄は、私が実際に辞めていった部下を振り返って気づいた変化です。
大事なのは、どれか1つが当てはまったから辞める、という話ではないということです。忙しい時期に報告が短くなるのは普通のことです。私は「2つ以上の変化が、2週間以上続いたら声をかける」を自分の目安にしています。法律や制度の基準ではなく、あくまで私の実務上のルールです。
心身の変化が見えたら、引き留めより先に専門家へ
3つ目の層は、もはや離職の予兆というより、体調や心の不調のサインかもしれません。先ほどの厚労省の資料でも、背後に病気が隠れている可能性があり、その判断は管理職ではなく産業医などの医師の仕事だと整理されています。
ここで「辞めないでほしい」という話をするのは、順番が逆です。まず話を聴き、人事や産業医に相談する。働き方を考えるのは、そのあとです。
予兆の探り方には、越えてはいけない線がある
❌ やってはいけない予兆の探り方
・本人のSNSや転職サイトへの登録を調べる
・同僚に「最近あの人どう?」と探りを入れて回る
・休暇の取り方を予兆扱いして、理由を問いただす
・「辞めるつもりじゃないよね?」と単刀直入に聞く
どれも、本人が知ったら信頼が一気に崩れます。特に休暇は、取ること自体が働く人の権利です。予兆はあくまで、上司が普段の仕事の中で自然に見える範囲で拾うものだと考えてください。
予兆に気づいたら|最初の一声と、聞く順番
予兆に気づいたあと、多くの上司がつまずくのが最初の一声です。ここで構えさせてしまうと、部下は「大丈夫です」としか言わなくなります。
最初の一声は「見えた事実+開いた質問」
❌ 構えさせる一声
「最近元気ないけど、何かあった? まさか辞めるとか考えてないよね」
✅ 話しやすくなる一声
「最近、週報が前より短くなっている気がしていて。忙しさの具合、どうかなと思って。少し聞かせてもらえる?」
違いは、上司が見た事実を1つだけ伝えて、答え方を相手に委ねていることです。「元気がない」は上司の解釈ですが、「週報が短くなった」は事実なので、部下も否定しにくく、答えやすいんです。
場所は1対1で。定例の1on1が数日以内にあるならそこで構いませんが、2週間以上先なら、別に15分ほど時間をとってください。
聞く順番は「量→中身→この先」
話し始めてくれたら、次の順番で聞いていきます。いきなり本音に踏み込まず、答えやすいものから聞くのがコツです。

✅ 聞く順番と質問例
1. 仕事の量:「いま抱えている仕事、正直どのくらい重い?」
2. 仕事の中身:「やっていて手応えがある仕事と、しんどい仕事はどれ?」
3. この先:「半年後、どんな仕事をしていたいと思ってる?」
最後に:「私の側で変えられることがあったら、教えてほしい」
量の話は事実なので答えやすく、上司がその場で手を打ちやすい部分でもあります。最後の一言は勇気が要りますが、「相談しても変わらない」と思っている部下には、いちばん効く言葉です。
聞く姿勢や沈黙の扱い方は、1on1の基本と同じです。進め方に不安がある方は、こちらで型を確認しておいてください。
「辞めたい」と言われたら、最初の10分でやること
予兆に気づくのが間に合わず、退職を切り出されることもあります。そのときの最初の10分で、その後の関係が決まります。
✅ 切り出されたときの最初の10分
・まず「話してくれてありがとう」と伝える
・その場で説得しない。理由を最後まで聞く
・給与や異動などの条件を、その場で約束しない
・次に話す日を決めて、その日は終える
・人事や上長に共有するときは、そのことを本人に伝えておく
3つ目は特に大事です。処遇は上司ひとりでは決められないことが多く、守れない約束は、辞める決意を固めるだけです。退職の申し出の扱いは、会社の就業規則と人事の判断に沿って進めてください。
引き留めるか、送り出すかの見分け方
次に話すまでに、上司が考えておくべきことがあります。その離職は、職場に原因があるのか、本人の前進なのか、です。
仕事の偏りや人間関係など、職場に原因があるなら、変えられることを具体的に示して、一度だけ引き留める価値はあります。一方で、やりたい仕事が他社にある、家族の事情があるといった本人の前進であれば、気持ちよく送り出すほうがいい。引き留めても、迷いが半年先に延びるだけだからです。
離職を防ぐ5つの仕組み|上司の「勘」に頼らない
ここまで読んで、「結局は上司の観察力しだいか」と感じた方もいるかもしれません。でも、忙しい管理職が勘だけで全員の変化に気づくのは無理です。だから私は、気づく力を仕組みで補うようにしています。
先ほどの5つの特徴に、それぞれ1つずつ対応させています。

| 上司の特徴 | 防ぐ仕組み | 頻度 |
|---|---|---|
| 「いつも」を知らない | 部下ごとに「いつも」を1行メモする | 月1回 |
| 頼みやすい人に寄せる | 仕事の偏りを数字で見る | 月1回 |
| 要望を返さない | 要望の「預かり台帳」をつける | 都度 |
| この先の話をしない | 「この先」だけを話す時間をとる | 半年に1回 |
| 辞めた人を悪く言う | 残るメンバーと先に話す | 離職が出たとき |
仕組み1:月に1回、部下ごとに「いつも」を1行メモする
月末に5分だけとって、部下ごとに1行ずつ書きます。たとえば「週報は毎回A4半分。会議では必ず1回は意見を言う。最近は新規開拓に関心」。
これだけで、翌月の変化に気づけるようになります。「いつもと違う」に気づくには、「いつも」の記録が要るんです。メモは自分用の観察記録なので、評価や人格についての言葉は書かず、見えた事実だけにしてください。
仕組み2:仕事の偏りを、月に1回数字で見る
担当している案件の数と、残業時間を、部下ごとに並べてみてください。感覚では「みんな同じくらい」と思っていても、数字にすると偏りがはっきり出ます。
上位の2人から、翌月の仕事を1つずつ外す。それを毎月続けるだけで、特徴2のクセはかなり抑えられます。残業時間の上限など、労務の基本は押さえたうえで見ておきましょう。
仕組み3:要望の「預かり台帳」をつける
部下から要望や相談を受けたら、「受けた日・誰から・内容・返す期限」を1行で書いておきます。上に掛け合う案件なら、結果がNOでも期限までに必ず返す。
「上に聞いたけど、今期は難しかった。来期の予算で再提案してみる」。これだけでも、部下は「言えば返ってくる」と分かります。相談しても変わらない職場と、相談すれば返事がある職場の差は、この1行の台帳で埋まります。
仕組み4:半年に1回、「この先」だけを話す時間をとる
普段の1on1とは別に、半年に1回、30分だけ「この先」の話をします。「3年後、どんな仕事をしていたい?」「逆に、やりたくないことは?」。
すぐに答えが出なくて構いません。上司がこの先を気にかけていると伝わること自体に意味があります。聞いた内容は、次の仕事の任せ方に1つでも反映させてください。育成の観点からキャリア対話を深めたい方は、こちらもどうぞ。
仕組み5:誰かが辞めたら、残るメンバーと先に話す
退職が決まったら、送別の準備より先に、残るメンバーと話してください。伝えるのは2つです。抜けた仕事を誰がどう引き継ぐか。そして、上司としてそれをどう支えるか。
ここで再配分が見えないと、穴を埋めることになったメンバーが、次の予兆を出し始めます。しわ寄せを受ける側を守る考え方は、問題行動への対応の記事でも書いていますが、離職のときもまったく同じです。
防げない離職もある|送り出し方で、次の離職が決まる
ここまで防ぐ話をしてきましたが、すべての離職を防ぐことはできませんし、防ぐべきでもありません。他社でやりたい仕事が見つかった、家族の事情で働き方を変える。そうした前向きな、あるいはやむを得ない離職は、本人の人生の選択です。
上司が防ぐべきなのは、職場の側に原因があって、防げたはずの離職です。そして、防げなかった離職のときこそ、上司の振る舞いが残るメンバーに見られています。
✅ 送り出すときに上司がやること
・最終日まで、普段どおりに仕事を任せる
・引き継ぎの段取りは、本人と一緒に決める
・送り出すときは、具体的な場面を挙げて感謝を伝える
・辞めたあとも、本人を悪く言わない
もう1つ、最後の挨拶のときに「この職場で、何が違えばよかったと思う?」と1つだけ聞いてみてください。答えてくれなくても構いません。答えてくれたら、それは次の離職を防ぐいちばん確かな材料になります。
昇格試験でも問われる|「部下の離職」をどう語るか
部下の離職は、実務だけの話ではありません。昇格試験の面接では「部下から退職したいと相談されたら、どうしますか」という形で聞かれることがあります。ケーススタディやインバスケットでも、資料の中に「転職を考えている」というメンバーの一言が紛れ込んでいることがよくあります。
面接官が見ているのは、引き留めの熱意ではなく、管理職としての手順と視野です。
❌ 減点される答え方
「本人の気持ちに寄り添い、思いとどまってもらえるよう誠心誠意説得します」
気持ちは伝わりますが、何をするのかが見えません。説得だけでは、原因が職場にある場合に何も変わらないからです。
✅ 評価される答え方
「まず話してくれたことに感謝し、その場では説得せずに理由を最後まで聞きます。仕事の量や中身など、職場の側に原因があれば、変えられることを具体的に示します。本人の前向きな選択であれば、引き継ぎを一緒に計画して送り出します。並行して、残るメンバーの業務を再配分し、同じ原因で次の離職が起きないよう、仕事の偏りや相談の受け方を見直します」
ポイントは最後の一文です。目の前の1人だけでなく、チームとして次の離職を防ぐところまで語れるか。管理職の視座は、ここで見られています。
面接でよく聞かれる質問と答え方は、こちらでまとめて確認できます。
昇格試験でどんな力が見られているのか、全体像から整理したい方はこちらからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 予兆に気づいたら、すぐ「辞めるつもり?」と聞いたほうが早いのでは?
おすすめしません。まだ迷っている段階の部下にとって、その質問は「辞める」か「辞めない」かを今ここで選ばせる問いになります。多くの人は「辞めません」と答えて、そのあと上司に本音を言わなくなります。見えた事実を1つ伝えて、仕事の量から聞いていくほうが、結果的に早く本音にたどり着けます。
Q2. 優秀な部下ほど、突然辞めていく気がします。なぜですか?
優秀な部下ほど頼まれる仕事が多く、しかも不満を口にせずにこなしてしまうからです。上司から見ると問題がないように見えるので、変化に気づくのが遅れます。仕事の偏りを数字で見る仕組みは、こうした部下を守るためのものでもあります。
Q3. 退職の意思が固い部下を、引き留めてもいいですか?
職場に原因がある場合は、変えられることを具体的に示して、一度だけ引き留める価値はあります。ただし、上司ひとりで決められない条件を約束するのはやめてください。本人の前向きな選択であれば、気持ちよく送り出すほうが、残るメンバーにも良い影響があります。
Q4. 若手がすぐ辞めてしまいます。上司の関わり方の問題でしょうか?
すべてが上司の責任ではありません。ただ、若手はこの職場で自分がどう成長できるかが見えないと、早めに外に答えを探しがちです。仕事の目的を伝えること、小さな成長を言葉にして返すことは、上司にできる部分です。新人への関わり方は新人の主体性を引き出すリーダーの実践テクニックでも解説しています。
Q5. 部下が辞めたら、上司の評価は下がりますか?
扱いは会社によって違います。ただ、評価する側の立場から言うと、私が見ているのは「防げる離職だったか」と「その後どう動いたか」です。原因を振り返り、残るメンバーの再配分まで手を打った管理職は、むしろ信頼されます。
まとめ|部下は「突然」辞めるのではない
✅ この記事のポイント
・辞める本当の理由は、退職届や退職面談ではまず出てこない
・部下が辞める上司の共通点は「変化に気づけないこと」
・予兆は「言葉→行動→心身」の順に出る。比べる相手はその人の「いつも」
・最初の一声は「見えた事実+開いた質問」。聞く順番は量→中身→この先
・気づく力は、5つの仕組みで補う
・防げない離職は、送り出し方で次の離職を防ぐ
部下が辞めると、上司はどうしても「自分のせいだろうか」と考えてしまいます。私も、冒頭の部下が辞めたときは、しばらくそのことばかり考えていました。
でも、振り返って自分を責めるより、次の予兆に気づける仕組みをつくるほうが、ずっと前に進めます。まずは今月末、部下ごとに「いつも」を1行ずつ書くところから始めてみてください。来月、その1行がきっと役に立ちます。
